5月、入院中の母から呼ばれ病院に行った。
担当医と今後の治療についての話だった。

ここで言う「今後の治療」というのは
「もうそろそろ有効な治療がない」
ということを意味する。

医師の説明は端的に言うと、
今後ガンがめちゃ早く進行して
元のガンより転移先の肝臓が悪くなり、
肝機能障害(もしくは破裂)で多分死ぬ。
みたいな感じだった。

…破裂だと…?
怖すぎる。


これが最後という抗がん剤も効果なく、
抗がん剤治療がお手上げになってしまうと
医師の言うとおり母のガンの進行は早かった。

死亡後の手続きを任されていたので、
母と死亡時の行動を再度打ち合わせした。
人生で最悪の打ち合わせだと思う。


7月上旬、
調子が良くないと言って検査に行ったら
そのまま緊急入院になってしまった。
そのまま、もう帰れないという話だったが、
さすがに猫にお別れも言っていないので
何としてでも1度は家に帰りたいと
母が希望した。
もう病院で治療できることもなかったので、
麻酔テープみたいなものを貼って
自宅療養に切り替えてもらった。

中旬の週末、母が帰ってきた。
猫が喜ぶ。
テンちゃんはお母さんっ子だから
特に喜んでいた。
母も猫たちをとても愛していて、
フミにはよく話しかけ、(触ると怒る)
テンちゃんのことはたくさん撫でていた。

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なんやかんやでこの2匹は母が好きだ。


母はもうほとんど食事ができなくなっていて
具合も悪いし、ほとんどをベッドで過ごした。
猫もベッドに行って一緒に寝ていた。
不思議なことに、母が寝る時はいつも、
お父さんっ子のフミも母のベッドに行く。

母はいつも暑いと文句を言うが、
まんざらでもないようだった。

それでも、みるみる母の体調は悪くなり
木曜には限界と言い、
金曜朝に病院に戻ることになった。

家での最後の夜も
猫はいつも通り母に寄っていく。
母もいつも通り猫と過ごす。
でも、これが最後なのだ。
母は最後だと思いながら話しかけ、
別れを惜しみながら猫を撫でる。
フミはいつも通りワガママを言い、
テンちゃんもいつも通り喉を鳴らしていた。

こんなにもお互いが大切なのに、
どうして、この子たちが
母を失わなければいけないのか、
どうして母がこの子たちと
お別れしないといけないのかわからなかった。

テンちゃんがゴロゴロ言っている。
テンちゃん、お母さんバイバイなんだって。
フミ、一緒に寝るのこれが最後なんだってさ。


そうして翌朝、立つこともできなくなり、
結局、救急車を呼んで私と母は家を出た。
母はもう二度と帰ってこない。
猫はいつも通り2階で寝ている。


病院に向かう途中、母に
「家に帰れてよかった?」
と聞いたら、呂律のまわらなくなった口で
猫にまた会えて、
ちゃんとお別れできたからよかった
というようなことを答えてくれた。

ガンと知らされてから、ずっとずっと、
母の心残りは猫たちだった。
きっと心の支えも猫たちだった。


フミ、テンちゃん、
お母さんバイバイだよ。