1ヶ月前、最愛の母が死んだ。
ガンだった。

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まだ仙台にいた1年半前、
夜1人でポーチ用の布を裁断している時に
母からLINEが来た。

「元気?今日ガンが見つかりました」

と。

文面が頭に入った瞬間血の気が引いた。
何をしていいのかわからず、
裁断した生地をひたすらアイロンがけし続けたが
心臓がバクバクしすぎて上腕の感覚がなく、
まるで他人の腕が動いているようだった。
その間も全自動かと思うくらい
事務的に母とやりとりを続けた。

ガンの種類、転移の状況、
詳細は次週の検査でわかること。

ただ、その時点で判明してる情報だけでも
確実にステージⅣ、
ガンの種類的にも非常に進行が早く、
根治の見込みもないと理解した。

端的に言って絶望的だった。

ただ、母本人が
「できることを頑張るしかないから頑張る」
と言っていたので
私は頑張る母を頑張って支えようと思った。


納得はできなかった。

元々、1ヶ月後には
東京に戻れることになっていたのだ。
戻ったら店を再開して、
また母と買い物に行ったり、
美味しいものを食べに行こうと言っていた。
今度一緒に女神祭りに行こうと言っていた。

一緒にしたいことは山ほどあった。

なのに、どうして死ぬのか。
なぜ母なのか。

高校生の頃からずっと、
将来は母に恩返ししたいと思っていたのに。
家のことや持病で
たくさん苦労していた母をずっと見てきた。
せめて老後は楽をさせてあげたかったし、
たくさん楽しんで欲しかった。
あと数年で看護師の仕事も終えて
ゆっくりできるはずだった。
それはそれは素敵な老後ライフの予定だった。


老後がないとは聞いてねぇ。


私は無宗教だから
特別神様を信じてはいないけど、
もしあの場に神様がいて
私に見ることができたら、
きっとこう言っただろう。

「クソかよ」


バチってなんのためにあるんだ。
せめてその辺で発砲事件を起こしたやつとか、
女生徒に性的いやがらせをした教員とか
いじめで人を自殺に追いやったやつとか

…いるだろうが。他に。

美人でオシャレで仕事ができて
サッパリした性格で公正で、
猫が好きで努力家で
料理も掃除も裁縫も上手な
うちの母が何をしたと言うのだ。
デキスギくんか。

母の今生のミスといえば、
うちのポンコツ親父と結婚したことくらいだ。
それだって残念なだけで
別に責められることではない。

なのになぜ母が死ななければならないのか。

もう一度言える。

「クソかよ」

涙は出なかった。
この世の全てが理不尽に思えた。
うちの猫の理不尽さなんて可愛いものだ。
こんなことってない。
悔しかった。


最初の連絡から2週間経って
はじめて号泣した。